M1 Mac上でParallels Desktopを用いArm版Windowsを動かす(プレビュー版)
この度Apple M1が搭載されたMacbook Airを購入した。1TB/16GBに増強して買ってみたののの特に使い道はないと思っていたのだが、思いのほかバッテリーが長時間に持つため、リビングに持ち込んで文章を書いたりドラマを見たりする端末へと変貌している。
さて、そんなM1搭載Macの一つの弱点が、「Parallels Desktop」などの仮想化ソフトウェアを用いてWindowsを動作させることが出来ない、という点であろう。正直、Macのソフトウェアだけで生きていくことも不可能ではないにせよ、Windowsのアプリが動くとなればその魅力度は高まるものである。そんなことを思っていたところ、Parallels DesktopがM1対応版のParallels Desktopのプレビュー版をリリースし、さらにWindows Arm版もInsider Previewに登録していると試用することが出来るので、その方法をご紹介したい。
Parallels Desktop M1対応版のダウンロード
Parallels Desktopは、以下のサイトでM1対応版のテクニカルプレビューを配布している。
こちらにアクセスをし、「TRY TECHNICAL PREVIEW」ボタンをクリックしよう。Parallelsアカウントへのログインが求められたあと、Technical Previewのページへと遷移するはずである。
遷移をしたら、「Parallels Desktop 16 for M1 Mac build 50393」 (リリース時期によって細かなバージョンは違う可能性がある)の右側にある「Download」ボタンを押すと、ダウンロードが始まる。
また、その下には「Activation key」が記載されている。これはインストールの途中で使うことになるので、メモをしておこう。あとはParallels Desktopをインストールすれば問題はない。
ただし、このバージョンはあくまでもテクニカルプレビュー。従って、以下の様な機能は盛り込まれていないことに注意が必要だ。
- x86ベースのOSをインストールすることは出来ない
- 実行中状態のスナップショットへ戻すことを含めて、仮想マシンのサスペンドや再開はできない
- Arm32アプリは動作しない
ということで、実質的にはArm版Windowsをインストールし、Arm版WinodwsでArm64で構成されたアプリケーションのみが動作する……という形だろうか(一応、Arm版Windows10はx86のアプリケーションを、将来的にはx64のアプリケーションもエミュレーション出来るので、これらを含むという考え方もあるが……)。
Windows 10 on Arm Insider Programのダウンロード
Windows 10 on Armは、Insider Program(無料)参加者に対して配布されている。以下からダウンロードすることが可能である。
Parallels Desktopで設定をする
Parallels Desktopを起動すると、「もう、Windowsインストールしたいんでしょ」というバリに、Windows 10 on Armのファイルを求めるダイアログが登場する。このダイアログの中で先ほどダウンロードしたWindows 10 on Armを選択すれば、自動的にインストールが開始される。なお、インストールの途中にParallels Desktopのシリアルナンバーが必要となるので注意しよう。
なお、Parallelsの設定はとくに標準状態からはいじくらず、2コア・8GBを授けることにした。
Parallels Desktop + M1 Macbook Air + Windows 10 on Arm
起動するとこんな感じである。
意味深に画面の中ではタスクマネージャーが走っているが、正しく2コア4GBを認識してくれている。
こちらは、パワーポイントを起動しながら、メニューを開いてみたところ。Officeレベルであれば全く問題なく動作している。ん……?
このパワーポイントは、x86で動作をしているようだ。x86のエミュレーションでここまでスイスイ動くのであれば、意外と常用に耐えうるかもしれない。
なお、X64バイナリを動かしてみたところ、以下が出て動作させることは出来なかった。残念、というか当然ではあるのだが。
Parallels Desktopお得意の「Coherence」を試す
Coherenceは、Macで動作するアプリのひとつとしてWindowsの各アプリケーションを表示させることが出来るモードであるが、これに関しては思った以上に正常に動作をした。
上記では、PowerPointを起動し、さらにサクラエディタを起動して、Edge(Windows)を起動している状態であるが、あたかもアプリがMacで動いているかのように動作をしている。動作についてもキビキビとしていて支障はない。
M1 + Parallels + Windows 10 on Arm のベンチ結果
今回はGeekbenchを使ってベンチマークをしてみた。結果は以下の通りである。
端末 | アーキテクチャ | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|---|
Macbook Air M1 | M1 Native | 1728 | 7338 |
Macbook Air M1 | Intel (Rosetta) | 1310 | 4794 |
M1 + Parallels + Windows 10 on Arm (2コア) | Arm64 | 1392 | 2534 |
ちなみに、SQ2を搭載したSurface Pro Xのスコアがシングルで750−800、マルチコアで2800-3100程度なので、実のところM1 + Parallels(2コア) + Windows10 on ArmのほうがSQ2を用いたSurfice Pro Xよりも高スペックということになる。
マイクロソフト Surface Pro X / Microsoft SQ2 / Office H&B 2019搭載 / 13インチ / SQ2 /16GB / 256GB / ...
M1 Mac + Parallels + Windows 10 on Armの今後に期待
現状の完成度を見ても、M1 Mac + Parallels + Window10 on Armの完成度は相当に高いように思われる。実のところ、自分としては仮想マシンを使ってOfficeが動けばそれで十分(Mac版のOfficeはショートカットキーが異なっていたりして使いづらいので、Windows版を使いたい)であり、あとはサスペンドや再開といった機能がついてくれると万々歳だ(別に付いてくれなくても、このままでも良いとも思ってしまうが)。
マイクロソフトがArm版Windows10をきちんとエンドユーザー向けの製品として開放してくれることが必要ではあるものの、現時点で「仮想化環境でWindowsが使いたい」という方のニーズは既にある程度抑えることが出来ているのではないか。ベンチの結果を見れば、「さっさと開放してくれ!」というのは本音なところで、マイクロソフトの動向を見守りたい次第。
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