USB Type-C規格: Power Delivery (PD)、Thunderbolt……違いとまとめとケーブルと

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USB Type-C(以下たまに「USB-C」)がようやく普及をしはじめた。しかしながら、ひとくちにUSB-Cと言っても、「USB Type-C Power Delivery(USB-PD)」「Thunderbolt」など、形状が同じにもかかわらず様々な呼び方をしているのはなぜだろうか。簡単に言えば、それはUSB Type-Cは「コネクタ」の規格であり、通信方式や通信速度、流すことの出来る電力を統一しているわけではないからだ。

本記事では、USB Type-Cに関して少しまとめていきたい。なお、平易に記述をするために、ややこしい部分を省いているため、ちょっとした誤りがある点はご許容を頂きたい。

USB Type-Cは、「コネクタの形状」に関する規格

USB Type-Cの説明は不要であろう。こんな形をしたコネクタである。

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実は、USB-Cというのは、あくまでもコネクタに関する規格にすぎない。従って、この平形かつ上下対象なコネクタ自体がUSB Type-Cであって、そこに流す通信や電力はUSB Type-Cという規格とは一切の関係が無い。

そして、このUSB Type-Cでは、大きく分けて「USB信号」「Thunderbolt」「HDMI」「MHL」そして「Power Delivery」の5つを信号として流すことが可能だ。このうち、真ん中の3つは「USB Type-C Alternate Mode」という、「USBのケーブルを使って別の信号を流す」モードを用いている。

USB Power Delivery : 電力を供給

USB Power Delivery(USB-PD)は、USB Type-Cコネクタを用いて電力を供給する規格である。最大100Wまで利用することが出来るのだが、電流(アンペア: A)と電圧(ボルト: V)の組み合わせが「パワールール」という形で定められており、対応している電力に応じて、下位互換性を担保しなくてはならないこととされている(例えば、ACアダプタが最大60Wまでサポートしているのであれば、60W以下のパワールールには全て対応しなくてはならない)。

パワールールのパターンは、次の通りだ。

供給電力5V9V15V20V
〜15W3A以下
〜27W3A以下3A以下
〜45W3A以下3A以下3A以下
〜60W3A以下3A以下3A以下3A以下
〜100W3A以下3A以下3A以下5A以下

基本的に3Aで動作をし、電圧が5V〜20Vまで変動する形となる。

USB Power Deliveryを使うためには、対応機器をそろえる必要あり

USB PDを利用するためには、以下が全てUSB-PDに対応をしている必要がある。

  • ACアダプタ or モバイルブースター(モバイルバッテリー)
  • USB Type-Cケーブル(ただし、3A以上の供給を行わない場合は、基本的に通常のUSB Type-C to USB Type-Cケーブルであれば対応している
  • 機器本体

そして、機器本体の電力量に見合っているかどうかを確認する必要がある。といっても、機器の電力量以上を供給可能なACアダプタを用いた場合でも、利用する機器の上限電力量しか供給されない仕組みとなっているので問題は無い。

例えば、MacBook Pro 13インチは最大61Wで動作をする。そのため、以下の商品のような、最低でも60Wまでの出力に対応した製品を購入することが望ましい。

Macbook Proが61Wで動作する場合、おそらく20V3A以上で動作していると考えられる。ただし、インターネット上の情報によれば、どうやらそこまで重たい作業をしていなければ45W程度でも充電は可能なようだ。おそらく、その際は両者が対応している別のパワープロファイルで動作しているのだろう。

以下のような30Wまで対応しているUSB-PD対応のモバイルバッテリーであれば、20V1.5Aで一応電力の供給を行ってくれる。

Thunderbolt 3: USB-Cの上位互換+Display Port

Thunderbolt 3は、Apple社が積極的に採用を行っている規格であるが、後述するUSB規格(信号)との互換性を有しており、Thunderbolt3に対応をしていれば間違いなくUSB規格にも対応をしている。

Thunderbolt3を用いる場合、ケーブルがThunderbolt3対応であることを必ず確認する必要がある。というのも、流す信号がUSBとは根本的に異なるからである。

Thunderbolt3は、先述の通りUSB Type-C規格を間借りする形となっている。そして、実はDisplayPortへも対応をしている。なお、Thunderbolt3ケーブルはもれなくUSB-PDへ対応をしているが、機器が対応しているかどうかは機器次第である点に注意が必要。

USB信号

さて、最後に通常のUSBを。

先ほど記載をした通り、USB Type-Cとは単なるケーブルの規格であり、流すことが出来る信号は多種多様である。USB信号に関しても同義であり、以下に対応をしている。

  • USB 2.0
  • USB 3.1 Gen1(最大5Gbps)
  • USB 3.1 Gen2(最大10Gbps)

なお、USB 3.1 Gen1、USB 3.0 Gen2はそれぞれ「USB 3.0対応」とのみ記載がある場合が多い。通信速度で判断をするようにすれば問題が無い。
どれに対応をしているかどうかは、利用する機器とケーブル次第である。

まとめ

ということで、USB Type-Cというコネクタ規格を用いる信号を超ざっくりとまとめてみたところである。

機器やACアダプタは良いとして、ケーブルだけをまとめると、こんな感じだろうか。

名称対応製品USB 2.0USB3.1 Gen1USB3.1 Gen2USB-PDThunderbolt
Thunderboltケーブルこれ対応対応対応対応対応
USB Type-Cケーブル対応ケーブル次第ケーブル次第対応(ただし3Aまで)非対応
USB Type-Cケーブル(5A対応)これ(3.1 Gen1まで対応)対応ケーブル次第ケーブル次第対応非対応

ようするに、自分がUSB Type-Cケーブルを用いて行いことが「通信」なのか「給電」なのかで大きく分かれ、さらに「通信」のなかでも機器が対応している通信によって分かれてくる形である。自分が持っている機器の対応状況をチェックして、それにあったケーブルを選択するようにしよう。

Posted by webnetforce