世界中で使えるクラウドSIM 「AirSIM」を国内で試す

2018年7月8日金盾対策SIM,金盾対策

 

世界中で使えるバーチャルSIM「AirSIM」を試す

AirSIMは、世界中で使用することのできるバーチャルSIM(クラウドSIMとかeSIMと呼ばれることもある)である。
バーチャルSIMとは、SIMカードが本来有している加入者情報などがクラウド上に保存されており、それを参照して通信が行われる仕組みのこと。すでにAppleが「AppleSIM」として、1日単位で契約できるバーチャルSIMをiOS端末では契約できるようになっているが、それと同じような仕組みである。

AirSIMの場合、eSIMといいつつ、多くの国で中国聯通(チャイナユニコム)のローミングに頼っている。これは、AirSIMを発売しているのが香港の会社であることと、チャイナユニコムのローミングが非常に安いことに由来しているのだろう。

AirSIMを購入する

以前は香港などに出向かないと購入できなかったのだが、今はAmazonから購入することができる。
私も以下から購入をした。

AIRSIM・世界データSIMカード (残高10米ドル)

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購入をすると、10HKD分があらかじめチャージされている形となっている。

そして、専用のソフトウェアをインストールする。今回はiPadを用いたためiOS用のアプリを用いているが、Android向けのものもリリースされている。

購入した際には、本体以外にもAirSIMのソフトケース(いくつかのSIMカードを収納することができる)、SIMピン、日本語マニュアルのダウンロード先(これは代理店が入れてくれたのだろう)が入っていた。

専用アプリ「AIRSIM ROAM」を用いて設定をする

設定は全て専用アプリの「AIRSIM ROAM」を用いて行われる。
初期設定は非常に簡単で、SIMカードに記載されているICCID・アカウント・アクティベーションコードと登録するメールアドレスを入れれば終わり。
あとはそのまま設定画面に入ることができる。

なお、初期段階ではUSDに設定されているが、HKDのほうが若干安いとの噂だったので、設定画面からHKDへと変更をした。

AirSIMへのチャージ

設定をHKDにしている場合、100HKDからチャージすることができる。おおよそ14円程度。


支払いはPaypalのほかApplePayにも対応しており、アプリ内での購入ができるカードが登録されていれば支払いに利用することが可能。
今回はApplePayを用いて、とりあえずの100HKDを入金した。

AirSIMを使って1日使い放題なプランを契約してみる

「Buy」のページに進むと、実際の契約条件やプランを確認することができる。もちろん国別にだ。
日本の場合、ソフトバンクへの接続となるようだ。


データ利用は無制限だが、1日当たり500MBを超えた場合には256Kbpsまで通信速度が制限されるとのこと。また、APNは「3gnet」を用いるように指示される。

なお、このソフトバンクへの接続、実はチャイナユニコムのローミングである。したがって、端末側ではローミング時の通信をオンにしなくてはならない。

さて、AirSIMでは、トップページに「最低いくらから」という記載がされているのだが、この最低料金は基本的に契約期間が長くなるプランを日割りにした場合の金額である。したがって、1日単位での契約はそこまで安くない。
今回契約したソフトバンクの1日プランは30HKD。おおよそ420円程度だ。

画面上で選択をしたあと、「Checkout」を押すと、直ちに購入処理が行われる。ちなみに、クラウドSIMという特性上AirSIMはインターネット接続がなければ契約はおろか初期設定(契約情報のリンク)をすることもできない。なので、初期設定は国内で済ませておくか、空港のWiFiを用いて実施することが必要だ。

IPadでの設定を済ませると、きちんとLTEで接続することができた。


いまは「SoftBank 4G」と表記されるので、この「SoftBank LTE」表記は珍しい(それとも、旧イーモバイルの帯域は利用していないのだろうか。確認するすべがないのでなんとも言えない)。

AirSIMの通信速度

一般的にローミング接続というのは大変に重たい。というのも、キャリアにとっては最も優先順位の低い接続であるためである。さて、AirSIMではどの程度の速度が出るだろうか。

なぜか死ぬほどアップロードが早いのだが、ダウンロード速度は2.62Mbps。まあ、そこそこな数字なのではないか(ちなみに、同じ場所で計測したソフトバンク直接契約のSIMカードは60Mbps程度)。
この速度で500MB使うことができ、そのあとも256Kbpsで通信ができるのであれば、そこまで困ることはないように思われる。

AirSIMをルーターで使う

公式的には、AirSIMはルーターで使うことを想定していない。それは当然なことで、アプリ側で制御を行うのだから、ルーター単体では動作しないに決まっているのだ。

だが、もしすでに開通させたAirSIMをルーターに刺した場合はどうなるのだろうか。

結論から行くと、不安定ではあるものの接続することができた。
「不安定」というのは、うまくいく場合と行かない場合があるのだ。

契約した直後、スマートフォンで通信が行われていることを確認したあとすぐに挿入をしたところ、うまく通信を行うことができなかった(APN Authorization Failedと出てしまう)。そのあと時間をおいて試してみたところ、今度はきちんと接続をすることができる。
ところが、接続をしているうちに「Connection Failed」となり、APNの設定がおかしい、というメッセージが表示されてしまい、以後通信ができなくなってしまった。

上の画像は、正常に接続されているときのものである。通常、ローミング接続を行なっている場合には、上に「R」の表示が入るのだが、なぜかそれが存在していない。そして、本体がローミングであることを認識すると、とたんに接続ができなくなる……ということで、やはりルーターでの使用はおすすめできない(ただし、Androidベースのルーターであれば使用できるだろう)。

ということで、クラウドSIM「AirSIM」を国内で試してみた。通常の端末を用いる限りでは、比較的便利に
そして安く通信環境を整えることができ、使い勝手は良いのではないかと思う。
ただし、設定にあたってそもそもインターネット接続が必要となるなど、やっかいな点も多い。とはいっても、近年はどの空港にもWiFi環境が整備されていることを考えれば、簡単な海外旅行はこれひとつで済ませてしまうというのも良さそうだ。

Posted by webnetforce