【レビュー】ハイレゾ・LDAC対応プレーヤー(DAP)「Shanling M0」を試す
最近、中華製のハイレゾ対応プレーヤーやDACがものすごい勢いで進化している。その中でも最近注目されているのが、Shanlingから発売されている「M0」というプレーヤー。
MicroSDを挿入するタイプのプレーヤーなのだが、直挿しだけではなく、Bluetooth経由での再生にも対応。わずか2万円程度であるにもかかわらず、コーデックはLDAC・apt-X・AACそしてSBCに対応している。とくにLDACに対応している点は特筆すべきで、この価格帯のプレーヤーでLDACへ対応しているものは、現時点では本製品以外存在していないのではないか。
また、本製品はBluetoothレシーバーとしても利用可能で、本機をスピーカーに接続、そしてBluetoothでiPhoneとペアリングすることで、本機を経由しiPhoneの音楽をスピーカーで流す、というようなことが可能だ。
ということで、早速見ていくことにしよう。
スペック
まずはスペックから。本機は、40mmx45mmx13.5mmという非常に小さな形状をしている。にもかかわらず、DACチップにはSabre ES9218Pを採用(LGが販売している高音質で有名なV30という機種と同じもの)。少なくとも、Snapdragonなどで鳴らす音楽よりは格段に音質が良いこと間違いない。
このチップの性能を大幅に生かしており、32Bit・384khzのPCM再生をサポート。さらに、DSD128まで対応している(DSDとは、Direct Stream Digitalの略称で、アナログ音声をデジタル信号化する際の方式・性能を示す。DSD128は41.1kHzの128倍まで対応していることを指す。e-onkyoなどではDSDのハイレゾ音源が販売されている)。
先ほど記載した通り、LDAC・apt-X・AACとBluetoothの高音質コーデックにも対応しており、ワイヤレスでも高音質を楽しむことが可能。なかでも、LDACへの対応は眼を見張る部分で、この価格でLDACへ対応しているということが奇跡的だ。
Shanling M0を開封する
販売されているパッケージを購入すると、本体のほかにレザーケースが付属してくる。左が本体、右がレザーケース。
今回は赤色を購入したのだが、本体に合わせてレザーケースも赤色のものが付属してきた。
なお、Aliexpressなどでは、クリップケースも販売されている。手に入り次第こちらもレビューする予定。
ケースには、ハイレゾに対応していることを示すマークや、LDAC・apt-Xのロゴが刻まれている。
開封すると、本体がきれいに挟まっている。
続いてレザーケース。裏側にShanlingのロゴがはいっているが、非常に控えめで気がつかないほどだ。
装着をしてみた。側面にあるダイヤルやイヤホンジャックなどのボタンがきちんと飛び出すようになっていて、傷や汚れ防止に非常に役に立ちそう。また、手のサイズと比較していただければわかる通りM0本体は非常に小さく、胸ポケットに入れても違和感が全くないくらいだ。Bluetoothで接続するなら、カバンの中に忍ばせておいても良いだろう。
ちなみに、説明書は日本語にもなっている。このページでは、充電はUSB Type-Cで行うことや、電源のオンオフ方法などが記載されている。
Shanling M0を起動する
起動すると、言語を選択する画面が出てくる。デフォルトで日本語に対応しているのは嬉しい。ただ、いわゆる「中華フォント」が利用されているため、日本語フォントは少しばかり汚い(ただし、液晶サイズが小さいこともあり、そこまで気になる点ではない)。
Shanling M0の使用感
操作は非常に単純で、基本的にタッチとスワイプだけ。物理ボタンは存在しているものの、ダイヤルキーはボリュームの上げ下げに固定されており、ダイヤルキーのクリックは画面のオンオフ、長押しは電源のオンオフとなっている。唯一変更できるのはダイヤルキーのダブルタップで、これは「次の曲へ」や「一時停止」などに割り当てることができる。
スワイプ動作は意外とスムーズ。以前に「画面の端からスワイプしないとうまくスワイプできない」という動作が話題となっていたが、どうやらファームウェアのアップデートで改善されたようで、画面の真ん中をさっと撫でてやるだけで前の画面に戻ったり、次の画面へと遷移することができる。
また、画面の真ん中を長押し(ロングタップ)すると、 最初のメニュー画面に戻ることが可能。基本的にスワイプ動作の「戻る」は「前の操作画面へと戻る」に設計されている(Androidの思想に近い)ので、トップメニューにさっと戻ることができる機能があるのは有難い。
ただし、難がないわけでもない。タッチパネルが若干敏感で、スワイプ中に少しタップしてしまっただけで反応してしまうことがあるのだ。例えば、ミュージックリストを表示しているときにスワイプをしていくと、途中で突然音楽の再生画面となってしまうことがある。これは、スワイプを「さっと」行うのではなく、「すこし動作を溜めて」行うと、それがタッチだと誤認識されてしまうようだ。
楽曲を転送する
楽曲の転送は、エクスプローラーやファインダーを経由して行う。ここで注意しなくてはならないのが、本体を経由してmicroSDをフォーマットしても正常に読み込んでくれないという点。microSDのフォーマットは、microSDカードリーダーを用いて実施しよう。
「ファイル一覧」で楽曲が表示される
Shanling M0に楽曲を転送すると、まずトップメニューにあるファイル一覧に楽曲が表示されるようになる。ここでは、単純にファイル名が表示されるだけで、メタデータから曲名やアーティスト名を表示するような機能はない。
では、これをメニューにある「マイミュージック」に登録するにはどうしたらよいのか。
「マイミュージック」に登録する
どうやら、デフォルトではマイミュージックに自動的に音楽が反映される設定となっていない。まず設定画面へと遷移し、「マイミュージックの自動更新」をオンにする。
これで、マイミュージックに音楽が反映された。マイミュージックでミュージックリストを開くと、今度はメタデータをもとにアーティスト名や楽曲名が表示される。
再生画面
再生画面は非常にシンプルで、ジャケット画像に「次の曲」「再生・一時停止」「前の曲」のボタンがくっついているだけ。
左下にはシャッフル再生ボタンがついていて、通常再生・シャッフル再生・一曲リピートなどをトグルすることが可能。また、右側にあるハートマークは「お気に入り」への登録ができる。
さて、一時停止ボタンの下に「HR」という黄色いアイコンがついているのがお分かりだろう。ハイレゾ音源を再生している場合は、このマークが表示されるようになっている。
ちなみに、この画面でスワイプをすると、プレイリストへの追加・メタデータの閲覧・イコライザの調整ができる画面と、歌詞が表示される画面へと遷移することができる。
残念な点
Shanling M0は総じてよくできており、小型プレーヤーとしてはサクサクと動作し、操作方法も非常にシンプルで使いやすい。しかしシンプルすぎるがゆえにちょっと困ったところもある。
イコライザがしょぼい
Shanling E0にはいくつかのイコライザが存在している。
なのだが、このイコライザの音質が死ぬほどしょぼい……。ということで、イコライザが登場する機会はほぼないと言って良いだろう……。
プレイリストの登録が手動
なんと本機はm3uファイル(プレイリストファイル)に対応しておらず、本機からちまちまとプレイリストへと再生していく必要がある。しかも、プレイリストは名前を変更することが出来ず、「Playlist1」「Playlist2」という名前に固定されてしまう。この点は非常に惜しい。というのも、小さい画面であるからこそ、プレイリストの編集のようにちまちまとやることが適していない作業はPCで行えるようになっていることが理想的であるためだ。
さて、今回はShanling M0のレビューをお届けした。1.5万円、SDカードを含めても2万円程度で購入できる非常に安価なハイレゾプレーヤーで、今購入すれば先ほど紹介したレザーケースも付いてくる。非常にお買い得なのではないか。
また、もしきずや汚れが怖いようであれば、液晶ディスプレイの保護シートも購入をしておけば良い。
指紋が目立たない 反射防止・背面保護フィルムセット Shanling M0 用 OverLay Plus OLSHANLINGM0/MS/S/12
なお、今回、音質に触れることはあまりしなかったが、音質は改めて以下の記事でレポートをすることとしたい。
世の中にはさまざまなDAC・プレーヤーが存在しているが、入門機として本機は是非ともおすすめしたい。スマホから徐々にオーディオジャックが廃止されていき、iPhoneに関してはLDACにもおそらく対応してくれないと考えられる中では、高音質をいつでも楽しみたいと考えている方にうってつけなのではないか。値上げのうわさもあるので、購入は今のうちに。