自炊ユーザー向けの最強の電子書籍専用端末を求める–iPadか、Kindleか、それとも…

2018年7月8日デジタルガジェット,自炊・電子書籍Android,ガジェット,電子書籍

 

電子書籍については、「作る」ことにフォーカスされがちである(と勝手に感じている)。しかし、「読む」端末を選ぶことも非常に重要である。2015年となった今、数年前と比較すると、多くの端末のスペックは上がり、価格は下がり、選択肢も増えた。それでは、自炊ユーザーは今、自炊した書籍を読むために、どのような端末を選択すべきなのか。

選択1.液晶か、E-inkか

ここでは、書籍を自炊する方法については割愛しよう(ちなみに、私はbookscan等の代行業者を使用して、漫画から新書、文庫、単行本に至るまで多くの書籍を自炊、自宅で加工後に読書をしているが、その点についても書き始めると長くなってしまうため、次回にすることとしたい)。端末を選択する上で最も重要となるのは、端末のスペックである。そしてスペックを選ぶときに大きな選択理由となるのは、液晶ディスプレイを選択するのか、E-inkディスプレイを選択するのか、である。

液晶ディスプレイは、スマートフォンやタブレット端末に採用されている、自らが光を放つことによって我々に画像を提供してくれる。だからこそ、カラー・高精細・非常に美しい映像・画像を見ることが出来るが、光り続けているものをずっと見続けることになるため、目が大変に疲れてしまう。最近はブルーライトをカットするソフトウェアやフィルムも販売されているが、これらを使用しても液晶ディスプレイ自体が発光していることには変わらないため、やはり疲れてしまう。

これに対し、E-inkは画面自体が発光することはせず、磁石の力によってあたかも紙のような「インク写り」をデジタル的に再現する。子供がよく遊んでいる、マグネットで絵を描くあのオモチャが進化したもの……ととらえていだければ問題ない。E-inkは他の光があって初めてうつるため、目がつかれてしまうことはないが、画面描写に時間がかかってしまう点、及びカラーでの再現が難しい点は何点として存在して居るであろう。

正直にいってしまえば、液晶ディスプレイ端末にするのか、E-ink端末にするのかは、このように決めてしまえば良い。液晶ディスプレイに対しとくに「目が疲れる」などの感想を抱かない方、一日に何時間も読書を行わない方、タブレットを他の用途(たとえばブラウジングなど)と共用したい場合は、液晶ディスプレイ端末を使用するのが良いであろう。そうではなく、一日に何時間も読書をすることがあったり、液晶ディスプレイを寝る前に見ていると眠れなくなってしまったり、専用の端末を用意したい場合は、E-ink端末を調達するのが良い。このような形で選択すると良いだろう。

選択2. 重さと大きさ–軽い方が良いに決まっている

続いて考えなくてはならないのが、「重さ」と「大きさ」である。この重さ・大きさを決めるに当たっては、読書のシチュエーションを考える必要がある。

例えば、電車の中でつり革につかまって読書をすることが多い場合、端末が重いと腕が疲れてしまうし、大きいと片手で持てなくなってしまう。寝る前にベッドの中で使用したり、片手で使用することが多い場合も、同様に軽く小さい端末とする方が良いだろう。逆に、机の上などで固定して読書することが多い場合には、少し大きい端末でも問題ないかもしれない。

重さでキーとなってくるのは、「300g」の壁であると考える。300gよりも軽いと、ずっと片手で持っていても腕がそこまで痛くなることはない。しかし300gを超えてくると、ずっと持ち続けるのがつらいばかりか、そもそも片手で持てなくなってしまう。だいたい、iPad miniが300g以下端末の代表となってくるため、一度ショップでみてみると良いだろう。

大きさでキーとなってくるのは、「7-8インチ」であると考える。7インチ以下になってしまうと、ファブレットと大してサイズが変わらないため、正直、電子書籍用の端末としては不適切だ。一方で8インチを超えてくると、片手で持てる大きさではなくなってくる。

文章が散逸してしまったが、次のように考えると良い。読書をするシチュエーションが、「片手で支える」ようなことが多い場合には、7インチ程度・300g以下の端末を選択すると良い。そうでない場合は、8インチ以上・300g以上というのも選択肢にいれて構わないと思うが、実際に店で同等の端末を触ってみて選択しよう。

液晶ディスプレイ端末のベスト:コストパフォーマンスからColorFly G708がオススメ

と、ここで液晶ディスプレイを搭載した端末のベストを見てみよう。ここでは、あえて「専用」の端末を選ぶことにしたい。

無難に行けば、iPad miniやNexus 7であろう。しかしここは、あえてコストパフォーマンスを重視し、Colorfly G708(いわゆる中華タブレット)を選択したい。

恐ろしいことに、重さは264gと軽く、大きさも7インチと小型ながら、1万円程度で購入可能である。Nexus7のようなFullHDのディスプレイは搭載していないが、1280×800とそこそこの解像度を誇る(なお、16:9のディスプレイを採用した端末を購入すると分かるのだが、実は16:9というのは電子書籍にはよろしくない。16:9という長いサイズを採用しているのは、書籍では新書程度だからだ。だから、16:10等実際の書籍に近い比率を選ぶと良いだろう。

私は、この端末にMoonReader+を導入し、dropsyncを使用して電子書籍を同期、またMoonReader+に搭載されている読書位置の同期機能を使用して同期している。これが非常に便利であるので、一度試してみてほしい。

なお、この端末は落としたりこすったりするとすぐに液晶ディスプレイが壊れてしまうため、一緒に液晶保護シートを購入するのが良いだろう。

E-ink端末のベスト:Boyue T62+に決まり

E-inkというとKindleのイメージが強いが、実はAndroidを搭載したE-ink端末も若干だけ販売されている。その中で最もオススメなのは、Boyueというメーカーが出している「T62+」である。重さは173gと非常に軽く、ディスプレイは6インチと小さいが解像度が高いため非常に使いやすい。

BOOX KEPLER PRO(JPモデル)

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なぜ「T62+」なのか。そこには2つの理由がある。ひとつは、このT62+だけが、E-ink搭載 Android端末の中で唯一E-inkの最新版であるcartaディスプレイを搭載している点である。前のバージョンであるPearlと比較して、描画速度が非常に速く、また描画自体も非常に美しい。このCartaディスプレイはKindle Paperwhiteにも採用されており、それと同じ性能が手に入るのは魅力的である。
(※なお、T62+の前にPearlディスプレイを使用したT62という端末が販売されている。このT62ではなく、T62+である点に注意。また、T62Dは、T62+と全く同じものである。メーカーはT62+という呼び方を使用しているが、Androidのプロパティから端末情報を閲覧した場合、T62Dと表記されるため。)

もうひとつは、この端末はデュアルコアCPUを搭載している点である。メモリは512MBと若干心許ないが、同じようにE-inkを使用したAndroid端末であるBOOX T68等と比較すると、動作は非常に心地よい(具体的には、MoonReader+で書籍を読み込むときの早さや、ページめくりの動作が非常に早い)。また、ハードボタンが左右両方に搭載されているため、どちらの手で持ってもページ目繰り動作を簡単に行うことが出来る。

私の場合、先に挙げた「MoonReader+」を使用し、ページめくりのアニメーションをオフ、ボリュームキーでのページめくりを有効にして使用している。Kindle Paperwhiteと描画性能はほぼ変わらず、200MB程度ある500ページ程度の自炊書籍も簡単に読み込み、スイスイ読み進めることが出来る。

今回、電子書籍を楽しむに当たって、ふたつの端末を提案した。ひとつは「Colorfly G708」、もうひとつは「Bogue T62+」。両方とも中華端末であり、すぐに購入しやすいとは正直言えないであろうが、是非とも検討のなかにいれて欲しい。なお、「Bogue T62+」と、少しだけ上げた「BOOX T68」については、今後レビューを行う予定。